役に立つ緊張と余分な緊張

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こんにちは!伊藤です。
私の前回のポストでは「緊張は必ずしも悪いものではない」ということについて書きました。
そうは言っても、人前に出るといつも通りに喋れなくなったり、いいヤツには思えないんだけど…と思った方もいらっしゃるかもしれません。そんなあなたは勘が鋭い!実際に役に立たない反応が起こっている可能性が大いにあります。今日は「緊張した!」と感じた時に何が起こっているか、もう少し詳しく探っていきましょう。

まず前回のポストで紹介した通り、自分にエネルギーを与えてくれる反応が起こっています。これはアドレナリンの分泌などにより引き起こされるもので、心臓がドキドキする、呼吸が速くなる、汗をかくといった体の変化が起こります。これにより、より多くの酸素を取り入れ、多くの血液を送り出すことができるようになり、体は平常時よりもパワーを出すことができるようになります。
これらの生理反応は、理解をしやすくするためにここでは「興奮」という言葉で呼ぶことにします。

興奮は「今はパワーが必要なんだ!」と認識した時に、瞬時に働いてくれる優秀な機能です。しかし、これは生物が生き延びるために獲得してた本能的なものです。獲物を狩り、天敵から逃げ、生き延びるための、いわば原始的な能力ですので、あまりに興奮のレベルが高まると「人前で話をする」という文化的な活動にはそぐわなくなってくる場合があります。最近の研究では、興奮のレベルが上がりすぎると、頭が真っ白になり何もできなくなる「凍りつき」という反応が起こることも分かってきています。人前で話すことに支障が出るほど「アガってしまう」という方は、その反応をやわらげてあげる必要があります。多くの場合は強い不安や恐怖が原因になりますので、その不安や恐怖を引き起こす”思考”へのアプローチが有効です。「自分は何を不安に思っているのだろう?」と問いかけてみると、改善の糸口が見つかるかもしれません。

他に緊張した時によく起こる反応には、体を縮めたり、固めてしまうということがあります。必要以上に筋肉が収縮してしまっている状態です。筋肉の働きは「収縮すること」です。筋肉が収縮することで人間は動くことができますが、そのためにはまず「ゆるんでいる」必要があります。
人前で話をする時は、声を出したり、身振りや手振りをしたり、聴衆の顔を見るといった”動き”が必要ですが、人前に出た時点で筋肉を収縮させてしまうと、本来動きのために使う筋肉がすでに使えない状態になってしまいます。これにより、声が出づらくなったり、呼吸が苦しくなったり、動きが固くなったり、ということが起こります。これにより普段通りに話せなくなってしまいます。さらに、このうまくいっていない感覚が「やばい、うまく話せない」というような危機感を生み、さらに筋肉を固めてしまったり、興奮のレベルが高まってしまうという悪循環を引き起こします。
こういった過緊張はパフォーマンスに悪影響を与え、恐怖を助長し、大変ありがたくないものですが、幸いなことに解決策があります。
習慣化し自動的現れる過緊張ですが、これは決して、誰か他人や、特定の環境が「あなたを固めている」わけではなく刺激に反応して「自分自身が自分自身を固めている」ものなのです。自分自身がやっているということは、自分自身でやめることも可能ということです。
緊張しているときの自分自身の状態に目を向け、自分が何をやっているかに気がつくことができれば、それをやめていくことができるようになります。

こういった余分な筋肉の緊張をやめることに役に立つものに「アレクサンダー・テクニーク」というメソッドがあります。
アレクサンダー・テクニークは、フレデリック・マサイアス・アレクサンダーというオーストラリア出身の俳優が、舞台で自分の声が枯れるという問題を解決するために発展させていった、余分な緊張をやめていくための方法です。私のセミナーではこの手法を取り入れて、参加者が自分で自分の緊張を解放させていくことができるように指導しています。

正体がわかれば恐るるに足らず、解決策はちゃんとあります。みなさんが「緊張をした!」と感じたときにはどんな反応が起きていますか?

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自身も人前でのあがり症や、声のコンプレックスを抱え、人とのコミュニケーションに苦しんできた。演劇との出会いから、様々な俳優トレーニングのメソッドを学び、次第に自分の問題を克服していった経験を持つ。そこから、心と身体のメカニズムに着目し、ロルフィングやアレクサンダー・テクニークを専門的に学ぶ。
新しく何かをするのではなく、不必要な緊張や習慣をやめることで、本来持っている「人間力」を最大限に発揮し、その人らしさを取り戻し自由になれるようにレッスン受講者をサポートをすることを得意としている。
からだと心の使い方を専門的に学んでおり、姿勢・動作の改善や、マインドセットのアップデートによって、メンタルとボディの両面からアプローチを行う。

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